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AI戦略研究所

養殖・漁業《スマート水産》が支える水産業

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近年、気候変動により海でとれる生物の生息地域や捕獲場所が変わってきています。水産業では「AIマグロ」やサンマの漁場予測など、ICT技術、とりわけAIが活躍しています。

今回、この記事では《スマート水産》とはどのようなものなのかをご紹介します。

▣目次

 ・スマート水産(漁業)とは
 ・スマート水産導入のメリットや課題
 ・限られた資源を守るためにICTを活用してできること

●スマート水産(漁業)とは

スマート水産とは、ICT技術を活用して漁業活動や漁場環境に関するデータを収集・分析し、その情報を活用することで、省力化や操業の効率化を図り、生産性の向上を実現する取り組みのことです。

水産業は海や川にいる生物を資源として、捕獲・養殖・加工・流通(販売含む)を行っています。農業や畜産と異なり、捕獲という部分においては資源となる生物が人が管理し得ない、自然の中で増減をしていきます。冒頭でも述べたように、生物は気候変動により生息地域がか変わったり、また、個体数が激減したり激増したりします。そのため、捕獲においては漁師の長年の勘や経験に大きく依存して操業が行われることが多く、その技術に頼らざるを得ない特性を持っています。しかし、その経験値をデータに落とし込み、収集・分析し、なおかつAIによる海洋ビッグデータの分析を行うことで漁獲量の予測や漁場の最適化、資源保護などが可能になります。

漁業先進国であるノルウェーでは、養殖・漁業に携わる従事者が約3万人(2018年時点)でそのうち漁業の従事者は減少傾向が続き、1人当たりの漁獲量が伸び続けている。*¹資源の減少を背景に、資源を守りながら安定した供給を維持するため、「持続可能な養殖」に力を入れています。
世界最大手の養殖機器メーカーAKVAグループがAIを活用した、総合的な養殖管理システム「Fishtalk Plan」を利用して、分析したデータに基づいた最適な給餌量を提案。また、「Fishtalk Plan」には成長予測や環境モニタリング、ベンチマーク機能などの機能が備わっています。その他にも、同社の「AKVA connect」では、養殖現場にある機器類を遠隔制御・一括管理できるようになっています。生産者は生産活動に専念、機器の管理や調整はメーカーが保証することで生産者の負担を減らし、ICTツール導入を行いやすい環境が作られています。

日本国内でも、徳島県海陽町の 「あまべ牡蠣スマート養殖プロジェクト」 では、IoTセンサーで収集した環境データをクラウドに蓄積し、大学がAIを用いて分析を行っています。その結果を養殖現場へフィードバックし、作業ガイダンスを自動化することで、初心者でも参入しやすい仕組みを構築しています。

*¹「ノルウェー水産庁 漁業発展の鍵「持続性」
参考:AKVAグループ「Fishtalk Plan」「AKVA connect」
参考:「あまべ牡蠣スマート養殖プロジェクト

●スマート水産導入のメリットや課題

【メリット】
・経験や勘のデータ化:養殖・漁業ともに人の経験や勘をデータ化して分析することで関係者全体に情報が共有される
・人手不足・若手確保:収集した情報をデータ化・マニュアル化することで人材の育成スピードが向上
・生産性の向上:スマートドローンスマートブイの活用で天候に左右されず、養殖状況や海の状況を随時把握が可能
・水産資源の持続性:養殖にも技術を活かしつつ、漁業にも活かすことで今ある資源を守ることができる

【課題】
・ITリテラシー:ICT技術に関する知識の習得に時間を要する
・導入、運用費用:ITツールやAIを導入するための初期費用、データをとるために必要な中長期的な運営費用が必要
・水産資源データの不足:沿岸資源に関するデータが少ないため、適切に評価・管理するための信頼できるデータが十分に収集できていない

●限られた資源を守るためにICTを活用してできること

環境の変化や人口の増減に大きく左右される水産資源は、現在特に影響を受けている産業でもあります。また、機器を使う上でも天候や海の状況に耐えうる性能を備えていなければならず、活用やデータ収集は一筋縄ではいきません。そんな中、日本国内でも大手企業や専門の会社が機器の開発に積極的に乗り出しています。そこに各海域の漁師や研究者のデータを掛け合わせてデータを収集して分析して活用することで、日本を取り巻く海域の資源を守ることが実現できます。各生産者や事業者がICT技術を導入しやすいよう、水産庁は「スマート水産業普及推進事業」として助成金で支援をしています。このような助成金を活用され技術が広まっていくことで、資源は守られ、人には必要な分の水産物が確保され、資源を守るためのデータが整っていきます。当社のような伴走型のサービス提供企業は、水産業の特性や地域ごとの状況に合わせた最適なサポートを行い、持続可能な水産業の実現を支えていきます。

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著者

iwata

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